建築
「ねむの木こども美術館 どんぐり」(設計:藤森照信+内田祥士、2006年)を訪れた。(訪問は先に紹介した「秋野不矩美術館」と前後する) 偉そうなことをいうと、上手くなったなあ、という印象である。これまでに藤森さんの建築をいくつか訪ねてきたが、私…
掛川から一路、浜松の秋野不矩美術館(設計:藤森照信+内田祥士、1997年)を目指す。 浜松市に合併された旧・天竜の町外れの丘の上にある、秋野不矩の作品を展示した美術館。スレートで葺いた屋根、RC壁の上塗りの土壁や焼杉板などの材料や仕上げはこれまで…
資生堂アートハウス(設計:谷口吉生、高宮真介、1978年) 東海道新幹線の線路脇にある資生堂の美術館。出張などの折に新幹線から見ていていつも気にはなっていたのだが、ずっと足を延ばせないでいたのでこの機会に訪れることに。谷口吉生さんの美術館建築っ…
できるなら残業なんて1秒もしたくないのだが、帰れなくなったのでホテルに泊まる。職場からてくてく歩き、六本木のヴィラフォンテーヌ六本木ANNEXへ。こういう機会に一度泊まろうと思っていたので念願が叶ったわけだ。たまには降り積もる仕事にも感謝しよう。…
3月の話。 * 友人の結婚式のため山梨・甲府へ。 とりあえず山梨文化会館を拝む。これについては以前書いたので割愛(参考)。 山梨文化会館の前に変な信玄像があった。発泡スチロールでつくられた信玄像。変なのと思いつつ写真を撮り、後で調べたらやはり作…
横浜・関内あたりをうろうろした記録。何か書こうと思いつつ、まとまらなかったものをつらつらと。 石井和紘さんが設計した「同世代の橋」(1986年)。上から、相田武文さんと安藤忠雄さん。石山修武さんと伊東豊雄さん。象設計集団、長谷川逸子さんと高松伸…
「ROUND ABOUT JOURNAL vol.3」について、前回(参考)の続き。以下の3つのインタビューについての感想。 勝矢武之「深層から建築家の立場を考える」 伊藤暁「『キティちゃん』問題――複数の作家性が並列可能なプラットフォームをめざして」 g86「冷静と情熱…
藤村龍至さんから「ROUND ABOUT JOURNAL vol.3」を大量に送っていただいた。この「RAJ」はいわゆる建築フリーペーパー。若手建築家をはじめとした様々な分野の方のインタビュー等が掲載されている。藤村さんはこの活動を「部活動ノリ」というが、フリーペー…
松山・桑原の住宅(設計:長谷川逸子、1980年) 愛媛県松山市の郊外住宅地にある長谷川逸子さんが設計した住宅を訪れた。 松山には長谷川さんが設計した建築がいくつか残っている。徳丸小児科をはじめとした80年頃のものが多く、この「松山・桑原の住宅」も…
松山のことはもう少し書きたいことがあるのだが、先週末に横浜・関内あたりをふらふらしたのでそのことでも。 * 春節だったこともあり、久々に横浜中華街に足を運び、横濱媽祖廟を訪れた。「媽祖」は東シナ海・南シナ海沿岸を中心に10世紀末に起こった、航…
先日、雪の中を大阪出張。出張しても毎回梅田あたりで済んでしまうが、久々にミナミへ出向き、5年ぶりくらいに市営地下鉄に乗り心斎橋で降りる。 と、駅が!地味だがなかなか手の込んだデザインが施されていることに気付く(学生の頃は気付かなかった…)。ヴ…
松山の話はまだ続く。 坂の上の雲ミュージアム(設計:安藤忠雄、2006年)を訪れる。 正三角形プランの建築を訪れたのは多分初めて。三角形が用いられているのは平面のみならず、トップライトや、床や建物の外の歩道に敷かれた石までもが三角と徹底されてい…
伊丹十三記念館(設計:中村好文/レミングハウス、2007年)を訪れる。 詳細は「建築マップ」にアップしたので、ここでは訪れた際のエピソードなんかを綴ろうと思う。 建築マップ 愛媛県 伊丹十三記念館 今日あらためて思い返してみて自分でも意外だったのは…
松山市の中心からほど近くにある自動車教習所、城西自動車学校(じょうせい− 設計:松村正恒、1976年)を見学させていただく。 張り出した庇。先の日産プリンス愛媛販売、神山小学校*1などにみられるように「張り出す」というのは松村さんの建築の一つの特徴…
年末年始分の振替休日で松山に帰省。羽田空港第2ターミナルは拡張し、南ピアができていた。 * 日産プリンス愛媛販売(設計:松村正恒、1963年)をみる。 松村正恒(まさつね)はドコモモにも選出されている「日土小学校」を設計した建築家。1960年、『文藝…
トルコの話に戻る。 イスタンブルで訪れてみたいと思っていたのが、ブルーノ・タウト(1880‐1938) が晩年を過ごしたといわれる彼の自邸である。ブルーノ・タウトは1933年に祖国ドイツを追われ日本を訪れる。そして日本の文化、建築に触れ、桂をはじめその再評…
東京・表参道に新たな商業ビル"GYRE"(ジャイル、設計:MVRDV+竹中工務店、2007年)がオープンした。 相変わらず表参道が熱い。個人的には表参道の建築の表層のデザインとインテリアについて、また不動産投資と建築とブランディングという三者がどのように…
ギョレメから夜行バスに乗り込み、再びイスタンブルへ。休憩のためにところどころで停まると、隣に座った兄ちゃんにお菓子や車内においてあるジュースを入れてもらったりなにかと親切にしていただく。バスに乗り込んで約11時間、朝焼けの中にイスタンブルの…
深夜、シンガポールのチャンギ空港を発ち、さらにドバイを経由してイスタンブル着。トルコでの滞在日数は長くないので、チャンギ空港でネット購入しておいた航空券でカイセリへ向かう。1時間ほどで到着し、すぐさま乗り込んだバスは荒涼としたアナトリア高原…
トランジットに5時間かかるため、無料バスによる市内観光をしてもよかったのだが、伊東豊雄さん設計のショッピングモール、ヴィヴォシティを訪れることにする。チャンギ空港からS$2.90でハーバーフロント駅へ。車内から見る街の様子は、緑がいっぱい、ショッ…
万平ホテル(設計:久米権九郎、1936年) 明治発足の西洋式ホテルの草分け、万平ホテル。 万平ホテル内の資料館を覗くと万平ホテルの昔の図面やポスターなどが見られる。この中で"since 1894"とあるのを目にしたが、1894年はそれまでの旅籠「亀屋」を創業者…
軽井沢に滞在しています。 * 軽井沢はかつての宿場町であるが、今日の避暑別荘地としての発展のきっかけは外国人宣教師にある。カナダ生まれ英国聖公会宣教師、アレキサンダー・クロフト・ショーが訪れ避暑地として紹介し、外国人を呼んだのがその始まりな…
デイビッド・フィッシャーによるドバイの高層ビルの計画。フロアが回転し建築がぐにゃぐにゃしている映像。オフィシャルサイトを見るとこんな感じ。 1.THE NEW ERA 建築の新時代の到来。フロアが360度回転する。 2.SELF-POWERED フロアの間に設けられた4…
台風の中、借りた車でやっとこさ横須賀美術館(設計:山本理顕、2007年)を訪れる。 思い出したのは、この美術館の設計者選定において初めて入札に代わる新たな選定方式として採用された「横須賀型資質評価方式(QBS方式)」について。この美術館のほかにも…
『アララトの聖母』(監督:アトム・エゴヤン)を観た。アララトとはノアの箱船が到達したとされるアルメニア高原の最高峰、アララト山のことである。この映画はアルメニアの画家アーシル・ゴーキーの絵画を題材に、母と子、そして「アルメニア人大虐殺を描…
長野のことを書いている間の近況。 * 横浜・大倉山へ行く。稀に大倉山駅で降りることはあるのだが、そういえば大倉山記念館に行ったことが無いな、と思い訪れる。 大倉山記念館(旧大倉精神文化研究所、設計:長野宇平治、1937年) プレ・ヘレニズム様式。…
長野の旅行でとりわけ良かったのは、藤森照信さんの神長官守矢史料館(と高過庵などその周辺の環境)、内藤廣さんの安曇野ちひろ美術館。前者は、今日の建築の議論の枠組みを超越したものであるように思えたし、その建築を含めた周りの環境にやられてしまっ…
長野で泊まった旅館の玄関の脇には長野の情報誌"KURA"のバックナンバーが置いてあった。長野の旅、寺などの特集が多く、長野版『男の隠れ家』といったところか。その一つで長野県内の建築特集が組まれており*1、藤森照信らが長野県内の建築を紹介しているた…
世の中には面白くて価値のないものが溢れています。建築関係の雑誌を眺めてみるとそういうものが多すぎる。若い世代の建築家のつくるものに、面白ければいいじゃないかという傾向がある。学生の課題を見ても、コンペの審査に立ち会っても、何か建築家は面白…
松本を後にし車を一時間ほど走らせると、安曇野ののどかな田園地帯が目の前に広がってくる。なだらかな曲面の地面の広がり。車にして良かった、と思いながらふらふらと走る。 安曇野ちひろ美術館はそんな開けたところに建っていた。 安曇野ちひろ美術館(設…