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開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

東京ゴッドファーザーズ

東京ゴッドファーザーズ(監督:今敏)をみる@シネセゾン渋谷。ホームレス3人組がゴミ捨て場で赤ん坊を拾い、親を探し奔走する話。
今監督の手がけた映画「パーフェクトブルー」「千年女優」は共に、さざえ堂*1のごとく物語が絡み合って構成されていた。「パーフェクトブルー」では主人公・未麻の現実と虚構、アイドル女優とが、「千年女優」でも現実と虚構とが入り乱れる。本作は「現実と虚構」ではないが、拾った赤ん坊を中心に登場人物の物語が絡み合い集束してゆくというところは、今までの作品の構成と似ていると言えよう。
しかし上記2作品と異なるのは、物語の主人公が三人であるということだ。それぞれの過去があり、その結果としてホームレスを選択した主人公たち。赤ん坊を拾ったためにとられる行動がさらに自分たちに関わりのある周囲の人物を巻き込んでゆくわけだが、そのそれぞれの主人公、さらに主人公の周囲の人々にも赤ん坊を中心としたストーリーが練りこまれ、それら登場人物が入り乱れてゆくところがこの映画の特徴であり醍醐味なのかなぁーと思う。見終わった直後は、まぁまぁ面白い話、といった印象だったのだが、後から登場人物(主人公以外も含めて)それぞれの物語を思い出してみると、一つ一つにそれぞれのストーリーが注意深く練りこまれていることに気付きはっとさせられたのである。表層のストーリーだけでなくそれぞれのストーリーの総体が一つの物話を構成しているといえるのではないか(そういうことを考えると東浩紀チュンソフトのゲーム「街」*2なんかが思い出されるなぁ。)。

*1:二重螺旋のお堂。福島県のものが有名で、ここには二重螺旋のスロープに沿って西国三十三観音像が安置されている。 http://www.linkclub.or.jp/~hiro335/a_map/fukushima_01.html

*2:http://game.goo.ne.jp/contents/title/PGMNTPDchn02001/