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開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

映画『DISTANCE』に出てくる建物について

是枝裕和の撮る映画の絵がキレイだ。映画『DISTANCE』も例外ではなく、湖の風景や、ラストシーンの映像は美しく、息を呑んでしまう。
この映画はカルト教団による殺人事件の<加害者遺族>を登場人物として描いたもので、その加害者遺族と、一線を超え出家した家族との心の距離がテーマだといっていいだろう。
その「距離」は言い換えれば教団側と一般人(=私たち)の距離といっていいと思うのだが、この対比は、映像では<山の中の風景>と<街の風景>(=<日常の風景>)として表現されている。この<街の風景>としていくつかの建物・風景が撮られているが、その選択が意図的であるように感じた。例えば、東京都庁、団地、新宿駅、(これは建物ではないが)携帯電話といったものが描かれている。そして個人的に面白いなと思ったのが、写真(右上)にある「城のような建物」や「ポットの形をしたお店」が描かれているところである。このような建物は<非日常>を意図しておそらく80年代頃に作られたのだろうが、映画が公開された2001年にはもはや<日常>の風景の一場面として選択され、撮られたのではないか、と私は考える。そうだとしたら、あまりにも皮肉だ。