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開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

金沢21世紀美術館

金沢へ行ってきた。昨年10月に開館した金沢21世紀美術館(設計:SANAA/妹島和世西沢立衛)を訪れた。金沢では「まるびぃ」と呼ばれているように、円形の平面をもつ、円盤のような白い美術館である。

円盤の内部に点在する幾何学的な形態を持つホワイトキューブ。その各展示室に収まる美術作品の作品のためだけに空間が用意されたようで、換言すれば、まるで作品が自らの望む空間をたちあげたら美術館になった、という印象。
それは20世紀の建築の「機能主義」を突き詰めたらこうなったという印象でもある。いわゆる計画学的なプラン割りではないにせよ、作品のために空間があるような(と思った)展示は、同じ天井高で作品を一同に並べてしまうような美術館より機能的だといえるのかもしれない。
この美術館は徹底的に白い。現代美術もまたこの白さを必要としたのだろう。SANAAの建築は20世紀のモダニズムを地で行い、その結果モダニズムを新たな次元へ押しやったようであるように思う。表現としてのモダニズム?批評性のためのモダニズム?そういうモダニズムの側面を顕在化させた?

これらの意味で「21世紀美術館」という名前は皮肉にも20世紀の建築的な思想を最もよく具現化したようにさえ思われる。しかしそのような状況こそが今、21世紀初頭のありのままの姿なんだろうと思う。

建物のガワの部分は周囲の公園と(特に視覚的に)一体的で、無料で自由に入れる公共性の高い空間。美術館(本体)はこの内側の有料ゾーン。