mezzanine

開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

ピラミッドの中


ヨーロッパ建築の起源を求めるせいか、建築史は古代ギリシアから始まるとされる。一方で古代エジプト(ピラミッド)に求める話もあるけど、ピラミッドなんてただのモニュメントだと考えていた私はそのことについては、微妙、というような感想を持っていた。
そういうわけで食指は動きづらかったのだが、とりあえずの観光のためにカイロからギザのピラミッドに行った。
そうして漠然と思ったのは、ピラミッドにも内部があるんだなぁ、ということだった。中に入ったのは最も有名なクフ王のピラミッドではなく(内部へのチケットを取るために朝早く並ぶのが嫌だったからだ)、ギザ3大ピラミッドのうちカフラーのピラミッドである。印象的だったのは、もちろん様々な改修等がなされたことが想像できるが、ピラミッド内の狭い回廊を抜けて辿り着く玄室が、切妻*1型の内部を持っていることだった。
あれだけの外観と大きさを有しながら、内部はこれっぽっちの空間しか無いのか、ということもできるが、しかし逆にいえば、玄室がスケールの小さな、かつ切妻型の空間をしているために、玄室の周りが無数の巨石で覆われていることを考えるとそのことがなんとなく不思議に思えてくる。内部がヒューマンスケールで、かつ、まるで住宅のような内部を持つという外観とのギャップのもつ意外性が面白いと思えた。壁厚が何十メートルもある切妻の家、という感じ。
建築家のフランク・O・ゲーリーは「建築」を「窓があるもの」と定義した。これは建築が内部を有することだと私は解釈している。ピラミッドには窓は無いが、上記のような内部を持つことを発見したせいで、建築の起源をピラミッドにもつってことでいいかぁ、なんてことを思っている。

*1:こういうの。House of Leymen,Herzog&Meuron http://www.ronet.pl/herzog/realizacje.htm より