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開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

土楼のあり方

土楼についてもう少しメモ。大きく二つの問題があるように思う。

  • 保存・修復について

客家土楼というと円形の平面を持つものが有名だが、数が多いのは四角の平面をもつ方楼で、福建省広東省を中心に2000〜3000件あるといわれている。
土楼を世界遺産へという動きはあるようだが、住まわれなくなった土楼がほとんどであるようで、その損傷の状態が著しい。崩壊しているものも多々みられる。

観光地に落ちたお金を保存修復など土楼それ自体に回す仕組みと組織作りが必要だろう。
加えて、土楼は道路から離れて建つことが多く、またその「要塞」としての閉鎖的な性格をどのように活かすかを考える必要性がある。観光客が来るようになると、観光客を目当てとした、道からアクセスのしやすい新たな建築物が道路沿いに並ぶようになるだろう。ただでさえ居住している人々は土楼を離れる傾向にある。土楼の周辺や道路沿いに新たに建てられる建築物は辺りの風景を一変させ、日本でいう「景観破壊」の要素となる可能性がある。
土楼のゲストハウスは良い。土楼の空き部屋をどのように使うか、という方向はありそうだ。

  • 文化や生活の変化について

土楼の点在する一帯は、訪れるものに強烈な印象を与えるが、国際的な観光地としてはまだまだ認知されていない「穴場」であるようだ。今後土楼が世界遺産なりに登録され認知されるようになれば、世界中から観光客が押し寄せるようになる。そして、そのことによる文化や生活の急激な変化が気がかりだ。
特にこれらの土楼は中国の農村にある。客人に対するこの地の人の印象は悪くなかったが、観光にしか収入を期待できないこの地では、ゲストハウスへの過剰な客引き合戦、土楼見学ツアーへの強引な勧誘、強引な物売り――それらによるトラブルが想像される。

3月19日のエントリも参考にどうぞ。 http://d.hatena.ne.jp/ida-10/20060319