立岩二郎「てりむくり」(中公新書)
本棚を眺めていると、内容が思い出せない本がたくさんあって悲しくなったので、読んだ本のことはなるべくメモを残していこうと思った。
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- 作者: 立岩二郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2000/01
- メディア: 新書
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「てり(照り)」は膨らんだ形、「むくり(起り)」は反った形のこと。日本の社寺建築にみるような、中央がふくらんで端が反った屋根を照り起り屋根という。
本書はひたすら「てりむくり」に言及する。面白かったのは照り起りの歴史について。照り起りの伝統は平安時代にさかのぼる日本独自のものであり、日本の高温と多雨の気候に対して日本人が工夫して発明したものであるというという。B・タウトがシナ建築の模倣だと非難する日光東照宮も、照り起りの視点から日本のものだと再評価するのは面白い。
ただ一点、現代の建築、例えば原広司や磯崎新の建築を取り上げて「日本のてりむくりが見られる」とするような論調は乱暴すぎではないかと思った。