皇居と江戸城
もう一月近く前の話だが、会社対抗の駅伝大会に参加した。コースは皇居の周りをぐるっと一周、桜田門をスタートし、パレスホテル、パレスサイドビル、千鳥ヶ渕の南を通って、最高裁、警視庁を経由するルート。これがちょうど5キロというのは、東京のスケールを捉えるのに覚えておくとなにかと都合がよい(かもしれない)。
実際このコースはランニングコースになっていて、多くの人が走っているようだ。駅伝当日も、軽やかに走っていた会社の役員にたまたま遭遇してしまった。とはいえ、ただ走ることには乗り気ではなかったのだが(中学は陸上部だったのだけど)「皇居の周り」と聞くと楽しそうに思えてしまい、快諾してしまった。皇居には、ロラン・バルトを引き出すまでもなく*1その窺い知れない謎な感じに興味を惹かれるからだ。
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google earthで皇居を見てみると、歪なカタチ(平面)をしていることに気付いた。『江戸はこうして造られた』(鈴木理生)によれば、江戸の街は段階を経てつくられたといわれる。皇居の前には江戸城があったことは言うまでも無いが、江戸城も段階を経て作られたのがわかる。まとめると以下のようになる*2。
- 北東の直線で作られたところが本丸。家康の江戸入り後、1590年に工事。
- 西丸は家康の"隠居城"。
- 千鳥ヶ淵(北西)は上水確保のためのダム。1592年に工事。
- 北側が北の丸。
- 本丸と北の丸の外郭・石垣などの工事は、外濠と共に1606−1607年。
- 南東の四角い区画は西丸下。1611年に西丸と共に工事、1614年に石垣・城門工事。
で、これら西丸下〜本丸〜北の丸と西丸の間〜西丸の西〜西丸下、というルートを走ったわけだ。これらの地区ごとに全く異なる風景が見られたのは、江戸城が地理的・政治的要因をかんがみて段階を経て造られたからだともいえそうだ。
江戸はこうして造られた―幻の百年を復原する (ちくま学芸文庫)
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