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mezzanine

開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

ジャイアント・ストロング・エントリー

読了。

地質学の研究によって、いま東京のある場所が、縄文海進期と呼ばれる時代に、どんな地形をしていたのか、詳しいことまでわかっている。洪積層というのは堅い土でできている地層で、これが地表に露出しているところは、縄文時代に海水の浸入が奥まで進んでいたときにも、陸地のままだった。この陸地だったところをえぐって水が浸入してきたところには、沖積層という砂地の覆い別の地層がみつかる。この二つの地層の分布をていねいに追っていくと、その時代にどの辺まで海や川が入り込んでいたのか、わかってくる。*1

著者は、その<沖積層>と<洪積層>の入り組んだ様子を表した地図を「縄文地図」と呼び、現在の東京の様相を縄文地図に重ね合わせることで、歴史を読み解きながら、今日の東京の相貌の根拠を探ってゆく。

早い話、これが縄文地図。青いところが沖積層、肌色のところが洪積層。沖積層は遠い昔には海だったところだ。東京がくねくねと入り組んだ地形を持つことは周知だろうが、その「地形」から重ねられてきた歴史を想像し、現在の都市の相貌に帰結させる手法は、想像力を喚起してとても刺激的だった。
本書では「縄文」と謳っているが、話の主となる時代はせいぜい明治や江戸であり、なんで縄文なのか、また学術的価値を見出すものではないんだなあ、などと考えながら読んでいたのだけど、でも、なんだか分からないけど「縄文」というキーワードこそに惹かれるものがあるのだろうと思った。
縄文というキーワードは、今日の建築界でも取り沙汰されたり、あるいは岡本太郎が取り上げたように、うまくいえないけど日本人の「血」なのだろう。だから、もし本書が歴史的・学術的には「言いすぎ」だとしてもかまわない。「縄文」だからこそ、想像力を喚起するものがあるのだから。
それにしても「地形」あるいは「地表」、そして「歴史」の面白さをさらに上乗せして教えてくれた書籍であることに変わりは無い。(ちなみにその面白さを初めて教えてくれたのは石川初さんだ)


例えば最近訪れた御茶ノ水も、洪積層の上、いわば海に突き出す岬だったわけだ(↑の縄文地図参照)。本書に則せば、その突端に太田姫稲荷神社や幸徳稲荷神社があるのは偶然ではないといえるだろう。

アースダイバー

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*1:p.13-14