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開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

辻 惟雄『奇想の図譜』

辻 惟雄『奇想の図譜』(ちくま学芸文庫)を読む。

奇想の図譜 (ちくま学芸文庫)

奇想の図譜 (ちくま学芸文庫)

「奇想の系譜」に続く、日本美術の独創性に関して記した本。著者はMIHO MUSEUMの館長でもある。

日本美術が共有するもの――その第一は見る人の好奇心に訴える奇抜な発想と斬新な意匠であり、視覚を楽しませあそばせるエンタテイメントの精神、ひとことでいえば「おもしろさ」を追求する心である。*1

本書では、北斎若冲、舟木洛中洛外図、「かざり」、「ばさら」などを通して、日本美術の「奇想」が説かれる。いわゆる「わび・さび」的見かたが一新される本。日本(江戸)美術ってイっちゃってる!というと語弊があるかもしれないけど、そうした著者の好奇のまなざしを感じ、そういう観点から日本美術を捉えるのが面白く思った。
あっという間に読んでしまった本書だが、個人的には以下の指摘や作品が印象的だった。
日本の浮世絵がヨーロッパへ渡り、ヨーロッパが日本美術に目を向けた(ジャポニスム)という話は有名だが、北斎もまた蘭書に触発され、自らの絵に取り入れていた―という指摘。
武士の「ハレの舞台」であった合戦で生まれた美術について。風流の趣向が合戦に持ち込まれ、「変わり兜」が生まれた。作品では、「黒漆執金剛杵型形兜」という、「金剛杵を握る拳がにゅっと頭上に突き出た奇妙な」兜がバカげていてすごかった(検索しても出てこないのが残念)。

*1:pp.298-299 文庫版あとがき より