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開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

横須賀美術館

台風の中、借りた車でやっとこさ横須賀美術館(設計:山本理顕、2007年)を訪れる。

思い出したのは、この美術館の設計者選定において初めて入札に代わる新たな選定方式として採用された「横須賀型資質評価方式(QBS方式)」について。この美術館のほかにも横須賀市では同方式により公共建築の設計者が選定されている。QBSはコンペと違い、書類審査とインタビュー、実績作品の視察が考慮されるもので、プランもスケッチも用意しない。自ずと計画する段階、過程において設計者と自治体の間で設計内容について検討しながら進めることになる。その点が良さそうだなどと学部の頃思ったが、その後どれくらい広まったのだろう。ただ、実績が求められるとなると若い建築家が参入できないため、若い建築家の未来を摘むことにもなるだろう。
私は横須賀市に住民票があるわけではないので偉そうなことは言えないが、訪れて楽しい時間を過ごせたという点で、成功なんじゃないですか、と偉そうに思った。


見ての通り外観はとてもシンプル。ガラスの皮膜に覆われた白い鉄板のところどころには丸い穴が開き、外の景色が取り込まれている。この景色がとてもよい。すぐ近くにホテルが建っているように、敷地としては申し分ない。目の前には海が広がり、対岸の新日鐵君津製鉄所が蜃気楼のように見える。その間の海に横須賀らしく黒い船や、客船などが時折現れるのも楽しい。エントランス横にレストランがあるのもとても良く、本でも読みながら時々ぼーっと眺めるのが心地よい。

内部に目を向ければ、白い展示室の隅は角が無く丸く仕上げられていて、これも効果的かどうかは分からないが予想外に良かった。少なくとも開催されていた《生きる》展にはあっていて、ヤノベケンジのトラやんにはいい具合。現代美術向けの展示室だと感じた。だから逆に、近代日本画家の作品の多いこの美術館にあうかどうかは難しいように思った。近代日本画の質感にはイマイチしっくりこないような。今年訪れた美術館を例に挙げれば、青森県立美術館の「土の展示室」のような壁・空間のほうが適しているように思えるがどうだろう。

ともあれ、ちょっとした横須賀小旅行の一ページとしてこの美術館を加えられるんじゃないかな、と。都内から日帰りで訪れるにはちょうどよい。