「人間を幸福にしない日本というシステム」
参考までに「建築雑誌」から、ウォルフレンの本について引用。
建築家になる前にこの一冊 横河健
『人間を幸福にしない日本というシステム』カレル・ヴァン・ウォルフレン著
日本が近代に入った明治以降、とくに戦後民主主義に向かったはずのこの国にとって、実はなんら民主主義でもなく、単なるもの静かで無知な国民が作られているという構造的な問題だということを知っておいてほしいと思っただけである。……少なくとも、作る側の人間がこれでいいのか?われわれはイツになったら豊かになるのか?建築とは本来その豊かさの指標ではなかったか?と。
(略)
今なお著者の指摘は鋭く、われわれの生き様に刺激(反省)を与えるばかりでなく、美しい国だったはずのこの日本を醜い国にいつの間にか変えてしまい、今でもなお変え続けていることにたいして、まったく無関係でない作る側の人間として生きるにはどうするべきかを教えてくれるものである。*1
*1:「建築雑誌」vol.118,p.26,2003