スーパーエッシャー展
スーパーエッシャー展@Bunkamura the Museum に行く。
モーリッツ・コルネリス・エッシャー(1898-1972)の、初期から亡くなるまでの作品が展示されている。エッシャーは「上昇と下降」(→参考)「滝」など60年代に描かれただまし絵が有名だが、初期の風景版画などを含めて作品を通時的にみていくことができる。
そして、それらのだまし絵以外の作品群をともに見ていくことで、エッシャーの論理的で科学的、数学者的な側面が見えてくるような展覧会だった。エッシャーのそうした側面は、正則分割理論を記した「エッシャーノート」にみるように明らかだが、「科学と芸術」という両者を統合したといえる画からは、バックミンスター・フラーにも通ずるような印象を受けた。
エッシャーの経歴をみると、建築学校で建築を学んでいたという点も作品を見る上で興味深い*1。
また個人的には、エッシャーが初期から取り組んだ版画(木版)という芸術の技法(分野)も、こうした傾向と共にあるんだろうな、などと考えた。正則分割は、ある2つないし3つのピースさえあれば、それを反復して刷ることで理論的には無限の平面を構成することが可能だからだ。
こうしたエッシャーの絵の科学的側面は、「美術手帳 2006年11月号」(美術出版社)に詳しい。
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展覧会では、ガイドとしてニンテンドーDSが貸し出されていた。
首からDSをぶら下げ、作品の前で画面をタッチペンで操作してガイドを聞く。ただの音声ガイドとしてだけでなく、作品の詳細をDSの画面で見ることができる。ゲーム機のゲーム機として以上の可能性の一端をみることができたように思った。
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2006/10/17
- メディア: 雑誌
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