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開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

藤森照信−神長官守矢史料館・高過庵

特急スーパーあずさで八王子から約1時間半。茅野で降り、神長官守矢史料館を目指す。

  • 神長官守矢史料館(じんちょうかんもりやしりょうかん、設計:藤森照信+内田祥士、1991年)


神長官守矢史料館は鎌倉時代より守矢家で伝えられてきた守矢文書を保管・公開する史料館。史料は諏訪神社の祭礼に関するものが多いらしい。
この史料館は諏訪大社のほど近くにあるのだが、辺りの空間がすごい。史料館の周辺に点在するミシャグチ神、古墳などを見てまわると、神が本当にそこにいるかのような、そこだけ時間が止まったような、そんな雰囲気を感じられる。こうした、いわゆる「畏れ」を体験をしたのは、子どもの頃に訪れた高野山以来かもしれない。しかも、高野山のような荘厳な空間でないにもかかわらず。

そうした原風景的な景観を残すこの土地には、藤森さんの建てた神長官守矢史料館の土着的な(というのも語弊があるが)建築が馴染む。いわゆる今の「建築家」になかなかできる仕事ではないだろう。というか、建築家はこういう仕事はしない。
手割りのサワラ、鉄平石の屋根、コンクリートの上に塗りこめられた土壁などに現代的な意匠を施さずに仕上げられている。取ってつけられた木鼻の装飾*1や、屋根を貫く柱に打ちつけられた鎌、気泡の入ったガラスなどの装飾的要素も見られる(もっとも、先述した様々なな素材それら自体も装飾的といえるかもしれない)。サワラの板の間から植物がちょこちょこ生えているのもかわいい。


史料館を入ったところにある「御頭祭(おんとうさい)」を表した展示も、このあたりを散策した後に再び訪れると、このあたりの古くの光景が想像されてくる。

諏訪大社最大の行事である御柱祭次回の御柱祭(太いモミを斜面から落とすアレ)は2010年というが、その頃また来よう。


資料館からほど近くのネギ畑の中からにょきっと生えた、二本のクリの柱の上に設けられた茶室。訪れた直前にちょうど、藤森さんが来ていたらしい。畑の中に、庵に上がる為のハシゴが置かれていた。
高過庵は諏訪盆地が見渡せる眺めのいい斜面にあり、地上6.5mからの眺めもさぞ良いことだろう。かつてNHKのETV特集でこの建築が建てられる過程を見たが、建築を楽しんでいる様子が微笑ましかったのを思い出す。建築は楽しい、ということをあらためて感じさせられた建築。

藤森さんの建築は、日本からみても西欧からみても異国的な雰囲気を感じられる建築であるように思う。個人的には、北インドに見られる木造寺院建築に似ているように思うのだが。

*1:木鼻だけ木が古くなっているのが分かる。