プレミアム戦略
遠藤功 『プレミアム戦略』(東洋経済新報社、2007年)を読む。
- 作者: 遠藤功
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2007/12/07
- メディア: 単行本
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第1章 プレミアムという現象
第2章 プレミアム消費の2つの断面
第3章 プレミアムとは何か
第4章 なぜ「日本発」のプレミアムは育たないか
第5章 戦略としてのプレミアム
第6章 「日本発のプレミアム」の挑戦者たち
市場の二極化、消費の二極化が起こり、「プレミアム」、すなわち上中下の「上」、「高いもの」が売れている、という話。サントリーのプレミアム・ビールの成功、トヨタのレクサスの挑戦から、フェラーリなど海外の事例まで、「プレミアム」について分析した本。
プレミアムは「ブランド」でも「ラグジュアリー」でもない。機能的価値に加え、作り手の主観、ものやブランドのストーリーといった情緒的価値と融合した「尖った」存在であるという。
【プレミアム戦略】は、コストで優位に立ちマス層に訴える【コスト・リーダーシップ戦略】や、差別化された商品やサービスで優位を築く【差別化戦略】ではない。限定的な顧客に対するニッチをターゲットとした【集中戦略】である。この戦略は、作り手の価値観に共感する限定的な顧客層を対象にする。だから、重要なのはファンをつくることでありストーリー・テリングの品質である。安易な顧客層拡大やマーケティングではない。
日本の建築家のつくる建築は「プレミアム」の要素を持つはずで、この辺に可能性がありそう。建築家にとって、ストーリー・テラーを傍につけておくことは有効であるように思った。