村上隆『芸術起業論』
村上隆『芸術起業論』をさっくりと読む。さっくりと読める/読むような本。以下ところどころ引用。
芸術は社会と接触することで成立します。(p.32)
新しいものや新しい概念を作り出すには、お金と時間の元手がすごくかかります。(p.32)
知的な「しかけ」や「ゲーム」を楽しむというのが、芸術に対する基本的な姿勢なのです。(p.35)
ウォーホールにしても、キャンベルの缶を描いただけでなぜ芸術作品になりえたのかは、ルールの理解と再解釈に長けていたからなのです。(p.80)
ぼくがアート業界で生き残れている理由は「業界の構造」にものすごく興味があるからです。客観的に業界を分析することに関しては、徹底しています。(p.61)
村上隆が言っていることについて、「芸術」を「建築」と置き換えて考えてみると面白いかもしれない。例えば、『「しかけ」や「ゲーム」を楽しむというのが、建築に対する基本的な姿勢なのです』とか。そうやって芸術と建築とを置き換えて考えてみると、少なくとも日本の建築界は、芸術界よりもリードしているように思える。ここで言われていることに対して、え、そんなこと、今さら言ってるの、みたいな感覚。建築のコンペにも暗黙のルールがあって、それが分からないと戦えないことは、みなさんも承知であるはずだ。
でも個人的には、近年のそうしたルールが窮屈に思えていて、みんなルールが分かっているから、学生のコンペにしても「どっかで見た」みたいな感じになってくる。私は、そんなルールがつまらなくなってきたところで、ルールがガラッと変わるのを楽しみにしているわけだけど。
でもそんなちまちまとした(しかしそうはいっても魅力的な)ルールの中でやりあっている間に、今までの建築のルールとは違うルールの中で建築が動いているような、そんな感じがしている。
- 作者: 村上隆
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2006/06
- メディア: 単行本
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