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開発業者勤務(東京・仙台) → 四国松山へUターン。建築・都市・街・不動産・観光などに関するメモ。

2006-01-01から1年間の記事一覧

吉村靖孝『超合法建築図鑑』(彰国社)

吉村靖孝さんの『超合法建築図鑑』が面白い。 街を歩いていると、建築基準法などの諸法律をを遵守して建てられるがゆえに、逆にヘンな建築ができてしまっているのを目にすることがある。斜線制限に切り取られたビルはその典型だが、そのようなヘンな建築に着…

建築家の言葉01

お仲間ですから安心して申し上げますが、やっぱり建築というのはデザインだと思います。今は科学主義という名の下に、ロジックが通っていないとダメのような言い方をしますが、建築というのはそれだけじゃないんです。極端に言えば彫刻みたいなものでね。「…

八郎潟干拓地

秋田にはたった一日の滞在だったが、訪れたのは八郎潟。 google earthより。 下が同じ高さから見た(同じ縮尺の)東京湾(川崎〜都内〜袖ヶ浦あたり)。八郎潟のだいたいの大きさがわかるはず。圃場の区画がでかい。 堤防から見た中の様子。 google earthで…

建築保存論(1) 建築と情報

銀山温泉の建築郡は大正から昭和初期にできたものだという。これらの建築郡は今日にも通じる普遍的な強度(良さ)を有するからこそ、今もなお愛され、生き続けているのだろう。 そうして、今日の建築とその未来について考えてみる。今日評価される建築が将来…

山形の建築

山形と秋田を訪れた。これで、日本47都道府県全てをひととおり訪れたことになった。 * 山形市内で印象深かったのは、ポツポツと点在する蔵の存在である。これらの蔵は、 明治の大火、当時の経済政策などによる要請から盛んに建てられ、現在も三の丸遺構の外…

"BLUE LIST. 06-07"(Lonely Planet Publications)

景観と観光という流れで本書を紹介してみる。 *Lonely Planet's 2006-2007 Blue List: 618 Things to do & Places to Go (Lonely Planet's Blue List)作者: Lonely Planet Publications出版社/メーカー: Lonely Planet発売日: 2006/01/01メディア: ペーパー…

「美しい景観」と日本

日本橋の首都高移設/撤去の是非をきっかけに景観論争が起こっている(た)が、以前ここでもその流れに乗っかって少し思うところを書いた(http://d.hatena.ne.jp/ida-10/20060116)。私は景観に関する違和感について『<経済を活性化させる策>として捉えて…

立岩二郎「てりむくり」(中公新書)

本棚を眺めていると、内容が思い出せない本がたくさんあって悲しくなったので、読んだ本のことはなるべくメモを残していこうと思った。 *てりむくり―日本建築の曲線 (中公新書)作者: 立岩二郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2000/01メディア: 新書 …

学生最後の旅はやっぱり広島だった

広島。「京都・宇治(http://d.hatena.ne.jp/ida-10/20060328)」の続き。 * 広島はもう何度訪れたのかわからないけど、訪れるたびに何か発見があっていい。 で、やっぱり「お好み村」に来てしまう。「お好み村」はお好み焼き屋の入ったビルで、2,3,4…

77 Million Paintings

「77MILLION ブライアン・イーノ音楽映像インスタレーション展」に行く(@ラフォーレミュージアム原宿)。 イーノのアンビエント・ミュージックで充満した会場は真っ暗で、そこに数十基のモニターの光が浮かんでいる。モニターの中には抽象絵画が描かれてい…

土楼のあり方

土楼についてもう少しメモ。大きく二つの問題があるように思う。 保存・修復について 客家土楼というと円形の平面を持つものが有名だが、数が多いのは四角の平面をもつ方楼で、福建省・広東省を中心に2000〜3000件あるといわれている。 土楼を世界遺産へとい…

京都・宇治

来年度から(というかもう数日後だけど)私も社会人なわけです。ひとつのケジメとして日本の西のほうへ数泊し、旧友や家族や研究者の方などと会いいろいろと話をしてきました。 先々でお世話してくださった方、ありがとうございました。 ついでに恒例の建築…

福建省、客家の土楼建築について

客家(はっか)の土楼、「還興楼」。中国・福建省にて。 アモイからバスに揺られること約四時間。山道を走っていると、まるで巨大なキノコが生えたかのように「土楼」がぽつぽつと現れてくる。 これらの集合住宅は客家により建てられたもので*1福建省を中心…

尾山台/大井町線の建築

せっかくなので、尾山台の辺りで見た建築をあげてみる。 SAKURA CENTER#14(設計:岩崎堅一・武蔵工業大学岩崎研究室) 武蔵工業大学の図書館/学食。岩崎さんは竹中工務店勤務時代に霊友会の釈迦殿をてがけたらしい*1。 キャンパスの真ん中にある。そういえ…

大きい模型と「もの」感

ハードディスクの中のものを出してみる。 * 先月の話だが、武蔵工業大学建築学科の卒業設計を見に行った。この大学はとにかく卒業設計の模型が大きい。 ゆうに20メートルは長さがあるような模型もあり、ずらりと並んだ模型を眺めながら、大変な作業と時間と…

香港3 香港の集合住宅

香港の集合住宅、高層マンションをみていると、十字型のプランをしているものが多いことに気付く。 こんな感じ。香港の山の上、ヴィクトリアピークから撮ったもの。 これはgoogle earthから。香港の九龍側の東側に位置する新しいマンション群。上空から見る…

香港2 香港上海銀行(HSBC)

中環(Central)のクイーンズロード沿い、香港島の中心にある。できたのが1985年だから約20年経つけど、全く古びない。久々にカッコイイ高層オフィスビルを見た。

香港1 重慶大廈(チョンキンマンション)

重慶大廈(チョンキンマンション)は九龍島の繁華街、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)に位置するビルである。日本の旅行ガイドなどでは「安宿の集合ビル」と紹介されている。 中に足を踏み入れると、両替商、安物のカバンや時計、携帯電話、簡素な飲食店などが軒を…

アモイのネオンビル

アモイ(厦門)は中国華南、福建省の都市である。 上海でも触れた都市の「高揚感」のようなものは、アモイのような経済特区でも観察することができた。アモイの場合は上海と比べてより派手であるように感じた。というのも、アモイにも多くの高層ビルが建ち並…

中国雑感

帰国しました。 上海〜広州、約2週間。このブログについても現地から更新しようと思ったけど、中国のネット事情は思ったより良くない。ネットカフェもたくさんあると聞いていたが、ほとんど見つからなかった。前回更新したのも、上海のユースホステルからだ…

上海

上海にいます。 川を挟んで、外灘(バンド)の約100年前の建築と浦東の高層建築群が対峙している風景は良い。外灘のほかにもいくつかの地区で地区・建築の指定により保存を図っている模様だ。この外灘は隣接する川が弓状にうまい具合にカーブしているため、…

宝珍楼

久々の武蔵小杉だったので、ランチは久々に新丸子の「宝珍楼」に行く。新丸子は武蔵小杉から400メートルほど、歩いて5分ほどの距離にある駅。 この商店街の中に位置するのが宝珍楼(設計:納谷建築設計事務所)。 商店街にぽっかりと穴が開いたような外観は…

等々力緑地と川崎市市民ミュージアム

所用で川崎のとどろきアリーナにいってきた。東西に長い川崎のちょうど真ん中くらいにある等々力緑地に位置し、武蔵小杉駅からタクシーでワンメーター。隣には菊竹清訓の設計した「川崎市市民ミュージアム」があるが、この美術館に一度だけ訪れたことを思い…

伊福部昭さん逝去

伊福部昭さんが91歳で亡くなったらしい。 個人的に思うところを好き勝手に述べれば、今日における日本の芸術とはなんぞや、と思っていた自分にとって、日本の素材とか伝統の型とかそういうカタチではなく、ひとつの解として示してくれたのが伊福部さんかなと…

表参道ヒルズ

フライングだけど、表参道ヒルズの写真。(ついでに以前建っていた同潤会アパートも) 上京してもうすぐ六年が経つ。こと建築意匠に関していえば、近年の表参道の建築や街並みの変化はこの間の大きな出来事として特筆できよう。建築は透明化し、妹島さんのデ…

『分断される経済』と「都市再生」

松原隆一郎の『分断される経済―バブルと不況が共存する時代』(NHKブックス)を読んだ。ざっくりと言ってしまえば、話題の『下流社会』について、社会経済学の観点から論理的に補強するような内容。日本では「構造改革」のもとで、大企業/中小企業、正規雇…

伊丹十三記念館

愛媛県松山市に伊丹十三記念館ができるらしい。 年末に聞いたニュースなので今さらっていう感じでもあるのだけど、自分の地元、しかも小・中学校の学区内の話なので。で、これが建つのが伊東豊雄さんの設計した「ITM松山ビル」の隣なんだそうだ(写真はITM松…

日本橋の景観について

良い景観、とは何か。よく分からないでいる。 ずっと答えが出せないまま保留してきた問いだが、先日、日本橋の上を走る首都高の撤去に「首相の一声」が発動されたことをきっかけに、今考えていることや、現時点での何らかの意見をまとめておこうと思う。後で…

道後2006

年明け初更新。ここのところ二年続いている松山/愛媛レポートを、今年も。 * 元日には道後温泉へ。道後温泉周辺はまた少しずつ変化をみせている。 道後温泉駅から道後温泉へと続く商店街。暗いアーケードに否定的だった筆者だったけど、工事が行われて新し…